連載
ママのため息| マーフィー恵子

【第15回】コドモと衛生

オージーは大らかだなぁと色々な折に触れて感じるが、コドモ達を見ているとびっくりしてしまうこともある。例えば、外で遊んでいたその手でおやつを頬張る。泥が手についてるじゃん…。コドモの習慣は大抵、周りの大人が教えるものだから、親が手を洗うということにあまり重きを置いていないのだろう。うがいしている子も私は見たことがない(もちろん家庭によって様々。オージー全員が無頓着なわけではありません)。

息子は動物が大好きで、家ではしょっちゅうペットのドーベルマンやスパニエル犬と戯れているが、なるべく手を洗わせるようにしている。手を洗いなさいと言っても、まだ自分では洗面台にも届かない(彼は2歳半)ので連れていく。これが一仕事…。嫌がるし重いし。

日本から送ってもらったビデオに“バイバイ・バイ菌”というシーンがあり、これが効いた。バイ菌なんてわかってないみたいだけど何となく楽しげなので、「手を洗おうね」と言わないで「バイバイ・バイ菌しようね~」と誘うのだ。するとすんなりついてくる。これを一晩に何度もするけれど、見ていないところでも犬を触っているだろうから完璧は無理、と開き直りつつある。

でも、ほとんどのオージーママはいつも開き直り状態(?)。以前、保育園にいたら砂を食べている子がいたが、先生は、「この年の子は何でも口に入れたがるから。後で下から出てくるから平気よ。こうしてバイ菌に対する免疫もできるしね」と言っていた。確かにそうだけど。

こちらでは学校でシラミが一般的なのにもびっくりしてしまった。少数の不潔な生徒から広がっているのかもしれない。ニュースでも全校生徒に一斉シラミ取り、という一面をやっていた。ずらーっと並んだ生徒達に、市から派遣されたスタッフがシャンプーしてあげるのだ。恥ずかしいなんて感覚はなさそう。

昔、息子がおなかを痛がって機嫌が悪い日が続いたのでお医者さんに診せに行ったら、「保育園行ってる?じゃあ多分お腹の虫だね。虫くだしを飲めばすぐ治ると思うよ。うちは家族全員(←小さいお子さん達がいる)予防も兼ねて3ヶ月に一回チョコ食べてるよ」とのこと。ショック!でもスーパーで売ってました。虫くだし用のチョコレート。コドモが食べやすいようにチョコそっくりにしてあり、効果はてきめん。イライラはけろっと治ってしまった。

私は決して神経質な方ではない。コドモは外で元気に遊んで、動物とも遊んで、おなかがすいたらおやつを食べて…大賛成。赤ちゃんがそこら辺の物を口に入れるのだって仕方ない。いちいち目くじら立てていられない。世間にはバイ菌がウヨウヨなのだから身体に免疫もなければ。

ただ、手を洗ったり清潔な服を着たりお風呂に入ったりすると、コドモ自身が単純に気持ちいいんじゃないかと思うのだ。だから習慣づくまで、そういったことをできる限りして示してあげたいなと思っている。

(リビング・イン・ケアンズ誌2000年6月号に掲載)

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マーフィー恵子

マーフィー 恵子Keiko Murphy

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オーナー

93年よりオーストラリア、ケアンズに在住。「ハートに響く異文化体験のトビラ」をモットーに、地元企業と日本人マーケットをつなげるPRやイベントを手がける会社 JC Creations を経営。1995年フリーペーパー「リビングインケアンズ」を創刊。2011年に出版事業は売却。2012年4月に地元の良いモノ・素敵なライフスタイルを紹介するセレクトショップ「パウチ」をオープン。著書に「家族でケアンズ最強ガイド」(講談社)がある。執筆記事はこちら
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