連載
ママのため息| マーフィー恵子

【第23回】子連れ 空の旅

3年半ぶりに日本へ行くことになった。2人の子どもを連れて。多くの友人が事も無げに、しかも頻繁にしていることなので、深く考えずに航空券を購入。その後ふとシュミレーションしてみる。何しろ上が言葉は話すけど、まだ訳わかんない3歳児。下はハイハイでそこら中を荒らし回る8ヶ月の赤ちゃんだ。タイトルのごとき、ため息が…。

よくよく話を聞くと、実は皆それなりに苦労していたことがわかった。特に、動き盛りの赤ちゃんは手強い。飛行機におにぎりを持参し、赤ちゃんを追いかけながら食べたという話や、トイレに簡単に行けないからコーヒーなど飲まないようにする、新しいおもちゃを隠し持って行くなどetc。

でも、どうにかなるさと何の用意もせずにその日を迎えてしまった。まあ、思った通りだ。機内食は、簡単に手が届くので、ぐちゃぐちゃに…。早々に下げてもらうと、今度は動き出す。何時間通路をハイハイさせていただろう。

ちなみに隣の小さな赤ちゃん連れのお母さんは、免税品の買い物までして優雅なもの。寝るかミルク飲んでいるかという段階の赤ちゃんなら、まだ楽だなぁと横目で見たりして。

うちのヤンチャ娘が少し落ち着いたかと思うと、トイレ。飛行機のトイレはどうしてこんなに狭いのか。3人だとギュウギュウ。子どもが2人いるとトイレに行く回数がとにかく多い!またかい。思わず息子にジュースの制限令を出してしまった。

前夜の深夜までの仕事や、それまでのハードスケジュールがたたったか頭痛までしてきて、薬を飲みながらワサワサと7時間過ごす。

そして無事、成田に到着。が、実はここからが大変なのだった。たった数メートルのエスカレーター。乳母車禁止とあるけれど、では子どもを抱いて乳母車を畳んで乗れってこと?飛行機を降りてから到着ゲートにたどり着くまでの遠さ。これは子連れでなければ気づかない。

一番の難関はやっとの思いで着いた入国審査だった。「飛行機は一番最後に降りて下さい」と言われ、しかもゆっくりと歩いたため、カウンター前は他のフライトの人も合流してものすごい行列。機内で入国カードを記入するどころではなかった私は悲惨だ。ペンをかじろうとする子どもを抱っこしながら避けつつ何とか3枚のカードを書き終えた頃には、更に長蛇の列に。なぜか冷房も利いていない!

子どもたちはオーストラリアのパスポートなので、外国人用の列。日本人はぱっと終わっていくのに、外国人はそうはいかない。50分くらい並ぶ。赤ちゃんは泣くし、もう大変。

さあいよいよ荷物を受け取るぞ、といさんで?一番奥のターンテーブルに行くと、なんと私たちはスローすぎて、荷物は預かり所へ回されていて。うーん。やっとスーツケースが見つかったはいいけど、乳母車を押してどうやって運ぶ?(トローリーもない…)結局赤ちゃんが泣き出してしまい、片手で抱っこ、片手でスーツケースを引き、空の乳母車を息子に押させて、一件落着。

迎えに来てくれた家族に到着ゲートで会ったときは、もう疲れ切っている私でした。

(リビング・イン・ケアンズ誌2001年9-10月号に掲載)

マーフィー恵子さんの近況

「娘が3泊のスクールキャンプへ。
 カヌー、アーチェリー、ブッシュウォーキング他、
 大自然の中でのアクティビティが盛りだくさん。
 車で1時間足らずでそんな場所に行けるケアンズの子ども達は
 幸せだなあと思います。

 週末はお友達と近くの渓谷で岩から飛び降りたり、
 女子もなかなか野生的。
 でも、この記事を読む限り、
 赤ちゃんの時から活動的だったんですね(汗)」

ママのため息

ママのため息

ママのため息

写真は、何年か前に家族でキャンプした時のもの。
ただ自然の中にいるだけで楽しそうでした。

〈2015年5月〉

 

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マーフィー恵子

マーフィー 恵子Keiko Murphy

Pouch Quality Aussie Gifts
オーナー

93年よりオーストラリア、ケアンズに在住。「ハートに響く異文化体験のトビラ」をモットーに、地元企業と日本人マーケットをつなげるPRやイベントを手がける会社 JC Creations を経営。1995年フリーペーパー「リビングインケアンズ」を創刊。2011年に出版事業は売却。2012年4月に地元の良いモノ・素敵なライフスタイルを紹介するセレクトショップ「パウチ」をオープン。著書に「家族でケアンズ最強ガイド」(講談社)がある。執筆記事はこちら
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