連載
ママのため息| マーフィー恵子

【第12回】ケアンズの小学校事情

日本と同じくオーストラリアも小学校は義務教育。つまり誰でも行かなくてはならない。日本の制度と少し違うのは、学区がなく、公立でも好きな所へ行けること、そして5歳から始まること。

私立を好む家庭が多いのは、日本と似た傾向?
私立を選んだ理由は、「授業料がそんなに高いわけじゃないし、カトリックと言っても宗教色が濃くないから行きやすい」「ある程度教育熱心な家庭の子が集まっているから」という声が目立つ。

「コドモがお友達を連れてくると、ついお父さんのお仕事は?って聞いちゃうんですよね~。いけないと思いつつ」という声も。周りの環境が気になるのは親なら当然のこと。特に小学校からドラッグの問題もあるオーストラリアではなおさらだ。

一方、「私立は入学申込の際に、カトリックの洗礼を受けた証明書があると有利と聞いて諦めた」家庭も。授業料は年間$1000程度の所が多く、保育園にフルタイムで行くより断然安い。(公立校は授業料がタダ)。ただし学校によってはnon residentの生徒の授業料は6倍近くになってしまう所もあり、仕方なく公立へ行かせる場合もあるようだ。

ある公立校で教鞭を取る日本人教師の方にお話を伺った時、「勉強する環境が全く整っていない生徒に足を引っ張られて授業が遅れがち。意欲のある子もレベルの低い子に合わせなくてはならないことも多い」と言っていた。また、政府も私立校により多くの補助金を出しているとのこと。

もちろん公立でも教育熱心な学校はあって、そんな所は人気が高く、家から離れていても親が送り迎えする。入学申込も早いうちにした方が良いらしい。良い学校は、先生の質、第二外国語は何か、生徒たちの国籍(バックグラウンド)、教育方針などがチェックポイント。同じ公立校でも日本語に力を入れている所など色々違うのだ。

人気公立小学校E校は、「マンモス校で、器材購入ほか色々な面で他校のリーダーシップを取っているし、校長先生もグッド」と日本人のママの多くがコドモを通わせている。これからお子さんが小学校へ行く人はそれぞれの特徴を調べた方がいいかも。

日本のような「お受験」はまだないにしても、コドモの教育問題は全世界共通。小学校を選ぶまでは熱心でも、入ってしまったら先生任せ、なんてことにはならないようにしたいものだ。

(リビング・イン・ケアンズ誌2000年3月号に掲載)

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マーフィー恵子

マーフィー 恵子Keiko Murphy

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オーナー

93年よりオーストラリア、ケアンズに在住。「ハートに響く異文化体験のトビラ」をモットーに、地元企業と日本人マーケットをつなげるPRやイベントを手がける会社 JC Creations を経営。1995年フリーペーパー「リビングインケアンズ」を創刊。2011年に出版事業は売却。2012年4月に地元の良いモノ・素敵なライフスタイルを紹介するセレクトショップ「パウチ」をオープン。著書に「家族でケアンズ最強ガイド」(講談社)がある。執筆記事はこちら
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