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インタビュー| 高橋ちさ

【インタビュー】クリエイターの育児論〈第一回〉漫画家・木下晋也さん(前編1/2)

第一線で活躍中のクリエイターに「育児論」を伺います。第一回目にご登場いただくのは漫画家の木下晋也さん。聞き手は、PR会社で広報として活躍している高橋ちささん。高橋さんがずっとファンだったという木下晋也さんには現在2人の息子さんがいます。父として、夫として、そして漫画家として、どのように考え、過ごしているのでしょうか。これからママになる高橋さんが聞いてみたいあんなことやこんなこと、色々と伺いました。

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木下晋也さんのプロフィール
漫画家。1980年大阪生まれ。2006年「Comic ギャグダ」(東京漫画社)にて『ユルくん』でデビュー。2008年『ポテン生活』で第23回MANGA OPEN大賞を受賞。単行本『ポテン生活』全10巻他が好評発売中。現在、Docomoエンタメウィークで『マコとマコト』を連載中。趣味はプロレス観戦。

「イクくんじゃないの!引き出しくんって言って~」。
最近は、弟のイクくん(生後5ヶ月)の名前を呼ぶだけでヤキモチを妬くという長男のコースケくん(4歳)。「意外と今がイチバン大変なときかもしれないですね」と穏やかに話す木下さんに子育てについてお聞きしました。

──出産後の奥さんのフォローはどのように行ってますか?お二人のご両親の援助などはありましたか?

木下晋也さん(以下、木下) うちは夫婦ともに関西出身で、近くに両親や親戚がいるわけじゃないので、出産後は妻のお母さんが泊りがけで応援にきてくれました。手伝いに来てもらわないと絶対に大変です。これは生まれてよくわかりました。

上の子のときは、生まれたときもイヤイヤ期(2歳前後)もそれほど大変ではなかったように思います。それよりも、下の子が生まれたいまが一番大変な時期かもしれないですね。一人育てるのと二人育てるのとでは、だいぶ違います。

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下の子が生まれたことで長男が赤ちゃん返りしてしまったようで。たとえば次男がおっぱいを飲んでいるのをみると、飲ませないで自分が飲んでしまったり。まるでオッパイの取り合いですね(笑)。

自分のことを「お兄ちゃんって呼ばないで!」と言ったり、次男(イクくん)を名前で呼ぶのを嫌がるときがあって、「イクじゃなくて、引き出しくんって呼んで」と自分で作ったあだ名みたいなので呼んでほしいといったり(笑)。

子供が生まれることによって変化する夫婦の形?子育てや育児に関する夫婦間の違いを乗り越えるために…。

──妊娠したときにご夫婦で子育ての話をしたり、教育に関する方針を決めたりしましたか?

木下 特にしなかったですね。その都度話し合って、育児の方向性などは決まっていった気がします。親が“こうしよう”と決めていても、それが親の本心でないと子供には分かってしまう。

たとえば、普段僕はあまり怒ったりする方ではないのですが、ここぞというときに無理して子供を叱るんです。子供はその姿をみて「あっ、こいつ無理してるな。本当に怒ってないな」って分かっていると思います。そんなときは奥さんがしっかりと叱ってくれます。有難い存在です。

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──奥様に対する感情はどういうふうに変化しましたか?子どもが生まれると、よく“女性”として見れなくなってしまうなどという話もあります。ここ数年は産後クライシスって言葉も出てきました。木下さんの場合は、子供が生まれたことで夫婦の形は変わっていきましたか?

木下 う~ん。奥さんを今まで通り女性として見れるか、それとも母親としてしか見れなくなるかはその人によると思います。うちはお付き合いしている時期が長かったこともあって、初めから家族になるという気持ちが強かったんです。だから子供ができたことによって妻に対する感情に大きな変化はなかったですね。

それに妊娠が分かったときは、無事に生まれてくれるかな…と、そっちのほうが心配でした。妻が幼い頃、腎臓が弱くて、こどもを産むときにはそのことを主治医に話すようにと言われていたということもあって。生まれてくるこどもの心配だけでなく、奥さんにもしものことがあったらどうしようとか、そちらも心配でした。

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妻は、やっぱりこどもが生まれてから“母親”になったなぁというのは感じます。子供中心の生活で、正直僕のことはあまりみてない(笑)。子供が生まれる前は僕の作品を読んでよくアドバイスをくれていましたが、子供が生まれてからは、育児漫画(おやおやこども。)以外はあまり読んでないみたいです(笑)。

ただ、女性は自然と子供中心になってしまうのは仕方がないと思うので、そのこと自体は僕は全然嫌じゃないんですよね。とても自然な感じがしています。

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──子育てをしている中で、ご夫婦で議論したり揉めたことはありませんか?育ってきた環境が異なる二人が一人の人間を育てるのって、想像以上に大変なんじゃないかなぁと。

木下 お互いに何かあれば、その都度二人で話してるので、大きく揉めたりしたことはありませんね。意見の相違があるときは互いに思っていることを共有しておくことが大事だと思います。

最近では習い事のことで意見を言い合いました。いま上の子が4歳で、そろそろ習い事を始めてもいいかなという時期です。本来ならば、子供が「これがやりたい」といって、親が「じゃ、やってみな」ってなるのが理想的です。

でも本人のやりたいことと、親がやらせたいことが必ず一致するわけじゃないですよね。本人は別に何もやりたくないと思っていても、親は体を動かすくらいはやっておいた方が良いんじゃないかなと思うこともあります。

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で、初めは無理矢理にでも行かせるべきなのか、本人が行きたいと思うまで待ってた方がいいのか。無理やりやらせてしまって、それがトラウマになってしまったら良くないから、本人がその気になるまで待っててあげた方が良いのか…。

こどもの習い事といっても競争はありますよね。まだあそびの段階から、“負ける”ということを覚えてしまって、もう体を動かすことをしたくないって思っちゃったらどうしようかなとか、いろいろ考えてしまうんです。妻は、「とりあえずやらせてみたら。楽しくなってくるかもしれないし。嫌になったらやめたらいいんじゃない?」という考え方なんです。僕にはその見極めがむずかしい。

──日頃はどんな風に遊んであげてますか?お子さんのお気に入りのおもちゃがあれば教えて下さい。

木下 おもちゃは乗り物全般が好きですね。トミカやプラレールは間違いないです。男の子は突然「車」や「乗り物」に目覚める時期があって、働く車系は大好きです。


▲コースケくんのお気に入りのミニカーたち(撮影:木下晋也さん)

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▲なぜか車のエンブレムが大好きというコースケくんのために、木下さんが手描きでエンブレムを制作(撮影:木下晋也さん)

──こども用品で揃えていて良かったモノとかあれば教えて下さい。

木下 バウンサーはすごく重宝しました。奥さんの友人が使っていたものを借りたんですが、ある程度の月齢になれば自力でバウンスさせて遊んでくれるので本当に楽でした。

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おやおやこども。【第7話】4ヶ月より

あと、妻は『ヌードルカッター』も便利だったと言ってます。うどんとか、麺類など長いモノをカットして食べさせるときに役立ったって。サクって切れる感じがやってる方も楽しいみたいです。

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▲子育てでとても役に立ったという「バウンサー」と「ヌードルカッター」(撮影:木下晋也さん)

<後編2/2に続きます!>


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おやおやこども。木下晋也(著)
吉本ばななさん推薦!!「何回もぷっと吹いちゃったけど、ここんちの子になりたいな」──父親になった実感ゼロから育児ははじまり、お風呂入れへのチャレンジ、はじめての二人きりの留守番、寝かしつけに苦労したり、時にはお母さんに怒られたりしながらも、少しずつお父さんになっていきます。「日常」をやさしい視点で切り取り、のんびり空気なギャグで描く著者による、妊娠から3歳までの日々を描いた、パパあるある満載!?の育児マンガです。(Amazonより)

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高橋ちさ

高橋 ちさたかはし ちさ

神奈川県出身。ラジオ局お手伝い⇒広告代理店(横浜駅スタジオDJ)を経て、現在は都内PR会社でIT企業、コンサル会社など、BtoB企業の広報を全力でバックアップ中。セミナー勉強会、飲み会の企画立てるの大好き。何かあればご相談下さい。ゲストライターとしてPR Tableにも参加中。執筆記事はこちら
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