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制作ノート| ptree

【P_TREEのこと】そもそものおはなし 2「こどもの成長に寄り添っていく」

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以前、三輪車のデザインをさせていただいたことがある。

これまでと(考え方が)違ったのは、紙や画面上のデザインではなく立体ということもあったが、一番はエンドユーザーが子供だということ。シンプルに「かわいい」「かっこいい」と感じられる、わかりやすいものでないと通用しないだろうと思った。

普通の大人であれば、(こう言うと相手が喜ぶだろうな)とか(ちょっとひどいなあ。でも今後のこともあるしやんわりダメだしするか)など、相手のこと、会社のこと、さらには自身のプライドなど、頭の中でいろいろなことと折り合いをつけながら会話をする。社会で生きていくにはあたりまえのことであり、それが大人というものだ。もちろん僕だってそうだ。

でも子供にはそれがない。

例えば絵を描いてみせても「かわいー」「じょうずー」「なにこれー」「へんなの!」「じょうずじゃないねー」と素直な気持ちを表現する。褒めてくれると(お世辞がないだけに)うれしいけど、けなされるとなかなか悲しい。お世辞の世界で生きている大人としては。なんだよもっとうまく書けるよなんてムキになったりして。

相手がどう思うかではなく自分がどう思ったかを素直に表現する。このありようがなんだかすごく心地いいなあと思ったのだ。デザイナーとしてのクリエイティビティは、こういう場で発揮していきたいなあと。

デザイナーとしてこれからどういう立ち位置をとるべきかと考えたとき、「こどものいる場所=あそび場」で、こどもの成長に寄り添っていけるようなデザイナーでありたいと強く思ったのだ。

(つづきます)

にじいろ号

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ptree

森 行正もり ゆきまさ

デザイナー
P_TREE代表

神奈川県出身。97年から06年までオーストラリア、ケアンズで日本語情報誌のアートディレクターとして活動。帰国後はグラフィックやウェブデザインの他、遊具などのプロダクトデザインも手がけるなど、こどもまわりのデザインを得意とする。2013年2月、こどものあそび場をたのしくするメディアP_TREE(ピーツリー)を立ち上げた。執筆記事はこちら
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