連載
ママのため息| マーフィー恵子

【第29回】兄弟

ママのため息

曲がりなりにも2児の親となり、1人と2人はこんなに違うか…と感じる日々である。(3人、4人のお子さんを持つ方々、本当に尊敬します)

1人目というのは、生まれて何年間か親や周りの注目を独り占めしてきた。たいていの場合は、初めての子ということでチヤホヤされたりもする。

が、2人目が生まれるとさぁ大変。親のケアは赤ん坊に注がれ、今までのようにはいかない。赤ちゃんがいると、上の子が例え幼児であれ急に大きく見えてしまう。

「靴下はかせて~」
「自分でがんばってはいてごらん」(下の子のオムツを変えるのに忙しい)
「ソーセージ食べたくない~」
「じゃあ、食べないでいいよ」(離乳食を食べさせるのに忙しい)

と、万事この調子。
ちなみに1人だった時なら、上の会話はこうなる。

「靴下はかせて~」
「こっちが右足、じゃあこっちは?そうそう、左だね。ハイ、履けた」
「ソーセージ食べたくない~」
「強い男の子になりたかったら食べた方がいいよ。
 1本だけでも食べてみようか。えらいえらい」

いきなり環境が変わっちゃって可愛そうだな…と思うものの、どうにもならないのだ。私には前と同じように接する余裕はなかった!

で、うちの場合は、下が生まれるといつのまにかパパっ子になった…妥当な策と言えよう。

でも2人目の立場になって考えてみると、赤ちゃんの時は気づかないにしても、物心ついた時には既にライバルが存在している。おやつ、おもちゃ、親のアテンション、常に相手の動きを見て主張しなければならなず、これもまた結構大変なことだ。

オージーのママたちは、どちらかと言うと、色々な場面で子どもに説明したり、判断をさせることが多い。

先日、年子の兄弟たちが、同じカップでジュースを飲みたくて言い合い。オージーママは、すぐに「昨日は●ちゃんが使ったから、今日は▲ちゃんの番でしょう。どのカップにする?」と促していた。

兄弟平等。えらい。私ならケンカさせておいて、収集がつかなかったら「●(下の子)に使わせてあげなよ」と決めてしまい、上の子には「こっちの方がかっこいいじゃん」と持っていく。子どもは大した理由もなく、相手の物が欲しいだけだったりするので、大抵は自分の物の方が良いと他人から言われると納得するのだ。(でもこの作戦は下の子が賢くなってくると使えない?)

親としては、常に競争状態にある下の子の主張を汲んであげたいという気持ちがどこかにあるのかも。泣くとウルサイというのもあるけど。

私が一つだけ気を付けているのは、「お兄ちゃんなんだから~~しなさい」という言葉を使わないこと。好きで一番上に生まれたわけじゃないので、この理由だとフェアでないかな、と思うので。

こうして少しずつ、上は譲ることを、下は人の優しさ(?)を、2人は大人の賢さ(??)を覚えていくのだった。 

(リビング・イン・ケアンズ誌2002年9-10月号に掲載)

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マーフィー恵子

マーフィー 恵子Keiko Murphy

Pouch Quality Aussie Gifts
オーナー

93年よりオーストラリア、ケアンズに在住。「ハートに響く異文化体験のトビラ」をモットーに、地元企業と日本人マーケットをつなげるPRやイベントを手がける会社 JC Creations を経営。1995年フリーペーパー「リビングインケアンズ」を創刊。2011年に出版事業は売却。2012年4月に地元の良いモノ・素敵なライフスタイルを紹介するセレクトショップ「パウチ」をオープン。著書に「家族でケアンズ最強ガイド」(講談社)がある。執筆記事はこちら
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