連載
ママのため息| マーフィー恵子

【第28回】子どものファッション

ママのため息

ケアンズのいいところの一つに、通年半袖でいられることがある。涼しい時は、はおりものが必要になる程度。季節によってクローゼットを整理しなおしたりする必要がない。

日本にいた時は、春・秋は季節の変わり目で重ね着を楽しんでいたものだが、地元の人を見ていると、寒い日はトロピカルな夏服の上にガバッとトレーナーを重ねて着ている人が多く、やっぱり常夏の人々だなぁと感心したりする。ここぞとばかりに大げさなブーツを履いたりしている人は他州から来た人だとすぐわかるのも面白い。

ケアンズ出身のダンナが子どもの頃は、学校でも皆、裸足で、転校初日にソックスと靴をはいていったら、冷たい視線がとんできたそうだ。運動会の日は靴を履くことになっており、日頃慣れていないために、転ぶ子が続出…。野性的だ。

今の子は、学校で靴を履いているが、息子のプレスクールでは外遊びの時は靴を脱ぐことになっている。土踏まずが発達しそうでいい。

オージーキッズは、髪はブロンド、栗色、カーリー、ストレート、目の色は青、緑、と皆生まれついて個性的。親が子どもにピアスをあけることも多く、同じ制服を着ていても、それぞれ雰囲気が違う。

私が学生の頃は、もともと黒い目、黒い髪で似ているのに髪型にまで規則があり、今考えると複製みたいな生徒がわんさかいた。オージーから見たら奇妙に映ることだろう。

生まれ持ったものは違っても、お洒落心はどの国でも同じで、オージーの子もがんばっている。ヘソだし、ミニスカート…ナイトクラブにでも行くの?というような女の子も。子どもの頃しか着られないリボンやフリフリもいいと思うんだけど、なんて思ったりする。

先日、日本から来た知人に日本のママと子どものファッションがすごいこと(?)になっていると聞いた。子どもにマスカラを塗ってあげたり、ネイルをしてあげたりするママが東京辺りには割といるらしい。パーマは珍しくもないそうだ。デパートの子ども服売り場では、トータルコーディネートとして、つけ毛まで一緒に売っているとか。

ママのファッション熱が一緒に連れ歩く子どもたちにも注がれている?いつ雑誌の街角スナップを撮られてもオッケー 。(かっこいいボーイフレンドを連れ歩くのが一種のステータスなのと似てる気が…)

私は、限られた予算ならすぐ大きくなってしまう子どもの服より、自分の服を買いたいタイプ(笑)なので驚いた。えらいな~と思っていたら、ファッションのために食費を削っていると家庭もあるとか。学校では、砂遊びなどは服が汚れるからと、したがらない子どもも増えているらしい。

人が装うのは、自己満足のためでもあり、周りの人々と気持ちよく過ごすためでもある。あまり無頓着もよくないけれど、子どものうちは、ファッションのために他を抑制するようでは少し悲しい。

自分の子には、個性を生かし、着ていて心地いいファッションを楽しんでもらいたいと思うのです。

(リビング・イン・ケアンズ誌2002年7-8月号に掲載)

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マーフィー恵子

マーフィー 恵子Keiko Murphy

Pouch Quality Aussie Gifts
オーナー

93年よりオーストラリア、ケアンズに在住。「ハートに響く異文化体験のトビラ」をモットーに、地元企業と日本人マーケットをつなげるPRやイベントを手がける会社 JC Creations を経営。1995年フリーペーパー「リビングインケアンズ」を創刊。2011年に出版事業は売却。2012年4月に地元の良いモノ・素敵なライフスタイルを紹介するセレクトショップ「パウチ」をオープン。著書に「家族でケアンズ最強ガイド」(講談社)がある。執筆記事はこちら
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