連載
ママのため息| マーフィー恵子

【第26回】育児と仕事

ママのため息

お陰様で、この3月で小誌()が創刊して7年目に入る。毎回創り上げる課程は楽しくも大変で、産みの苦しみを味わい、多少出来が悪くても可愛い。1号1号が我が子?のよう。

※当時、発行人・編集長として刊行していたケアンズの情報誌「リビング・イン・ケアンズ」。

そしてこの間、私は2人の子どもも授かった。当然「育児と仕事の両立」という問題にぶつかる。両立はあり得るか?私の浅い経験から思うに、答えはノー。何かを諦めない限りは…。

両方をこなすには、仕事の時間を短縮するとか、母乳は断念するとか、睡眠時間を削るとか、子どもは預けるとか、どこかに妥協線を引く必要がある。

私は、上の子が1歳になるまで自宅で仕事をした。この頃は、何を諦めたらよいのかわからず、欲張ってたのだ。寝てばっかりいる数ヶ月は、オフィスにモニターを置いて頻繁に2階に行くやり方で結構こなせた。

でも、赤ちゃんは日に日に成長する。1歳近くになると、色々なことが分かり始め、知恵も出る。うちの子はまず、電話が嫌いになった。話し中ワーワー泣くので、受話器を置いてから、今、何の話した?状態。子どもは、自分の方だけ見てくれなければイヤなのだ。

2人めは、1歳になるまでなるべく家にいようと、オフィスへ行くのを週に2日だけにした。代わりに、新しくコンピュータを買い、オフィスとリモートアクセスでつなぐ。

さて。子どもと遊んでいても、仕事の催促の電話は容赦ない。(ためるから悪いんだけどさ)ビデオを見せたりごまかしながら、なんとか終わらせてメール入稿、ということがしばしば。

ある仕事で何10本も短い紹介文を書くと言うのがあった。「ジュースこぼした~」「なんか臭い~」「ボーブザビーダー♪」とか言ってる傍らでせっせとタイプ。「至福のひととき…」とか「シックな空間で…」とか…嘘っぽいなぁと思いつつ。

取材は、あらかじめ許可を得て2人連れて行ったことも。急なミーティングは、友達やダンナに何時間後に帰ってくるからお願い!と頼んでダッシュ。

それでも昼間終わらない分は、子どもが寝静まった後に。そろそろ寝ようかなと思うと数時間おきの夜泣きだ。1年間、こんな生活を続けて悟ったこと。

1.健康第一
2.その時点での優先順位をはっきりさせる
3.子どもといる時間と仕事の時間ははっきり分けるべき
4.周りにお世話になるべし

そう、おばあちゃんでも、保母さんでも、ダンナでも、出来る限り手伝ってもらうのが乗り切るコツだ。私は、家族、スタッフ、友達、みんなの協力なしではやってこれなかった。

でも、経営者という立場にいなかったら、ここまでしたかは疑問。子どもが親にべったりという時期は、一生のうちほんの短期間。だったら、割り切ってこの間はとことん一緒にいるのも素晴らしいと思うから。….こう言ったらダンナに、仕事しなかったら変になってるんじゃない、と見抜かれた。

そうかもね。子どもを預けて仕事をする罪悪感や、体力の限界や、全力投球できないもどかしさ、職場への迷惑…ほんとに色々と悩みながらも、やっぱり究極は自分自身の幸せ。ママがアンハッピーで、幸せな子どもが育つわけない。(開き直りも入ってます)

子育てと仕事の両立の問題は、まずは、自分がどうありたいかを問うことから始まりそうです。

(リビング・イン・ケアンズ誌2002年3-4月号に掲載)

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マーフィー恵子

マーフィー 恵子Keiko Murphy

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オーナー

93年よりオーストラリア、ケアンズに在住。「ハートに響く異文化体験のトビラ」をモットーに、地元企業と日本人マーケットをつなげるPRやイベントを手がける会社 JC Creations を経営。1995年フリーペーパー「リビングインケアンズ」を創刊。2011年に出版事業は売却。2012年4月に地元の良いモノ・素敵なライフスタイルを紹介するセレクトショップ「パウチ」をオープン。著書に「家族でケアンズ最強ガイド」(講談社)がある。執筆記事はこちら
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