連載
ママのため息| マーフィー恵子

【第20回】ビューティフル・レイン

ケアンズに本格的な雨期がやってきた。あ~今日も雨。幼稚園や学校へ行っている子は別として、子どもと何しよう…そう考えるお母さんは多いはず。エネルギーを発散させないと可愛そう。う~ん。公園は無理。プールも無理。となると、屋内ですね。

まずは家。1人だと飽きるので、お友達を呼ぶ。でもプレスクール前くらいの年の子は、まだ動物のように縄張り意識が強くて、自分のおもちゃをお友達とシェアするということが難しい。
「だめ~ぼくの~」
「順番でしょ」
「これは○ちゃんのだから貸してってまず聞くのよ」
「やだ~」
…そんなんで結構気疲れ。

体を使って遊ぶのが一番、とトランポリン、平均台、いろいろ揃っている子ども用ジムへ行くと、体育館で冷房がなくて外が雨で、子どもらの熱気がすごくて…とサウナのようだとか。

図書館。ちょっとしたおもちゃもあるし、本に興味ある子なら時間をつぶせる。でもついはしゃいでしまって、追い出されたという話も。子どもに何時間も静かにしていろというのが無理な話。

お手軽なのがショッピングセンター。ウィンドウショッピングできるし、所々に子どもの乗り物なんかもあり、冷房が利いているので晴れている日もよく使われる。でも、この乗り物ってくせ者で、2回で2ドル(最低2ドルから)となっていることが多い。たいてい1回終わると飽きて飛び降りちゃう。すると、めざとく他の子が乗ってきたりして、1ドル損した気になってしまうのだ。フードコートは便利だけど、アイスクリームとか余計なものを買ってしまうのも難点。

お金を使えば、映画館や水族館、キッズディスコなど、連れて行く所は何カ所かある。私はアンダーシーワールド水族館のローカルカードを作った。25ドルで1年間何度入場してもOKだから、もうとっくにもとが取れた。何度行っても新鮮に喜ぶのが子どものいいところ。

ケアンズセントラルのフードコート内にある、インドアキッズスペース(子ども1人5.50ドル)は、子ども天国。滑り台ほか、やわらかい素材でできた遊具がいっぱいで、めいっぱい体を使って遊べる。赤ちゃん用コーナーもあるし、食べ物の持ち込みも可。時間無制限と良心的で、当然雨の日は混んでる。

ある大雨の日、ダンナが子どもとずぶ濡れになりながら、すごく楽しそうに遊んでいた。「雨が嫌なものだって思ってほしくないんだよ。子どもの頃は、よく水たまりで遊んだりしたもんだ」…と、目からウロコの言葉。

そういえば、小さい時は傘をさして、長靴はいて、レインコートを着るのがとても嬉しかったなぁ。川みたいに水があふれた道路で泳いで遊んじゃっている子どももこの辺ではよく見かける。本来の子どもは、雨を体全体で感じるだけでハッピーになれるのかも。雨=憂鬱…と思いこんでいるのは、もしかすると大人だけなのかもしれない。

東京にいた頃は雨にあたるとハゲる、と信じていた。雨が洋服に触れるとシミになることもあった。でもここはケアンズ。雨水が飲料水になるくらいだから、もう少しおおらかに構えてもいいみたい。遊ばせる場所の悩みは尽きないけれど、雨もそんなに悪くない、と考えを切り替えてもう少しの間乗り切りましょう!

(リビング・イン・ケアンズ誌2001年3-4月号に掲載)

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マーフィー恵子

マーフィー 恵子Keiko Murphy

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オーナー

93年よりオーストラリア、ケアンズに在住。「ハートに響く異文化体験のトビラ」をモットーに、地元企業と日本人マーケットをつなげるPRやイベントを手がける会社 JC Creations を経営。1995年フリーペーパー「リビングインケアンズ」を創刊。2011年に出版事業は売却。2012年4月に地元の良いモノ・素敵なライフスタイルを紹介するセレクトショップ「パウチ」をオープン。著書に「家族でケアンズ最強ガイド」(講談社)がある。執筆記事はこちら
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