連載
ママのため息| マーフィー恵子

【第17回】保育所

日本の働く母親の切実な悩みの一つ。それはこどもの預け場所だという。ここケアンズは、町の規模の割には保育所の数が充実しているようだ。(電話帳に載っているだけで優に30はある)

日本の保育園に当たるDay Care Centre から自宅で数人のこどもを預かる政府認可のFamilyDay Care Centre、無認可のナニー(自宅に来てくれたり預けたりは交渉次第)とオプションも色々。料金的にはあまり差がないので、預け先はこどもの性格によって決めることが多いようだ。団体に馴染めない子はナニーとか、人見知りするので同じこどもと遊べる少人数のFamilyDay Care にするとか。

うちは、集団生活の経験もいいことではないかと息子の預け先は保育園にすることにした。7カ所くらい見学したけれど、定員いっぱいで断られたのは1カ所のみ。ここは工事中の時、遊園地でもできるのかと思った可愛らしい保育園で、やっぱり人気が高いらしい。他はいつ入ってもOKと言われほっ。

カリキュラムや設備はどこも似たりよったり。庭が通りから離れていて木がある所がいい!と現在の所に決めた。(なんとなく車の走る横で園児が遊ぶってよくない気がして)

さて、入園してみるとまずはオムツが支給されるのにびっくり。紙オムツしか使ったことがなかったので、朝預ける時に布オムツをつけるのにやたら時間がかかっていた私…。(オムツはタオルだし安全ピンで留めるし。折り紙の苦手だった私には至難の技?)

お弁当にもびっくり。他の子のお弁当箱の大きさといったら….。オージーキッズは何を持ってくるのか先生に聞くと、たいていはサンドイッチ、フルーツ、スナック(ミューズリーとかヨーグルト)とのこと。なんて簡単!私向き!日本製の可愛いお弁当箱に可愛く盛り付けたランチを、オージー式に切り替えたことは言うまでもない。おやつやミルクもセンターから支給。お風呂に入れてくれるので、家での負担が減って大助り。

さて、約1年が経ち、次のクラスに上がると…トイレットトレーニングでオムツを使わないので代わりにランチを持っていかなくていいとのこと。毎日ベジマイトサンドイッチを食べていたらしい?おやつもフルーツも支給されて私のLazy度はますます上がるのだった。

数カ月すると年長組に上がるという。このクラスは小学校に来年は入るという子までが一緒になっている。2才半にもなっていないのに大丈夫~?と思ったけれど、このクラスの方がstimulateされていい、という園長先生の言葉に従った。年令も様々なこども達が好きなことをして1日過ごす。(砂場、お絵描き、コンピューター、すべり台、本、つみきなど)

朝、預けに行くとさあ何をしたい?と先生が聞くのだ。指示されるまで動けない日本人と、勝手に行動するオージーの違いは幼児教育に発端があったか….とつくづく感じるのであった。1才3ヶ月で入園して2才10ヶ月の今も朝泣く息子。保育所のシステムは違っても母親の罪の意識はたぶん全国共通なんだろうな….。

(リビング・イン・ケアンズ誌2000年09-10月号に掲載)

マーフィー恵子さんの近況

「息子の高校生活は残すところ2ヶ月弱。
 日本のような、いわゆる受験はありませんが、
 大学の受け入れに関わる試験三昧です。

 テストの他に、卒業旅行のこと、
(女子は)卒業パーティーのドレス選びなど、やることいっぱいのよう。
 加えて、次のスクールホリデーに、希望大学の近くの寮の下見のために、
 息子自ら運転してゴールドコーストまで行く、というプランも。
 ほんと盛りだくさんですね」

〈2014年9月〉

 

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マーフィー恵子

マーフィー 恵子Keiko Murphy

Pouch Quality Aussie Gifts
オーナー

93年よりオーストラリア、ケアンズに在住。「ハートに響く異文化体験のトビラ」をモットーに、地元企業と日本人マーケットをつなげるPRやイベントを手がける会社 JC Creations を経営。1995年フリーペーパー「リビングインケアンズ」を創刊。2011年に出版事業は売却。2012年4月に地元の良いモノ・素敵なライフスタイルを紹介するセレクトショップ「パウチ」をオープン。著書に「家族でケアンズ最強ガイド」(講談社)がある。執筆記事はこちら
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