連載
ママのため息| マーフィー恵子

【第10回】オーストラリアの子供版組

ケアンズに来ましたねー、The Wigglesが。この4人組の男性グループはオーストラリアの子ども達のアイドル。日本で言う“だんご3兄弟”を歌ったお兄さんお姉さんのような人気を誇っているのです。

薔薇が好物の恐竜ドロシーや海草のパイが好きなタコのヘンリー、片目の海賊キャプテン・フェザーソード~羽根の刀~など(日本語に訳すと、とっても変だな…)キャラクターもユニークで、彼らがテレビに出ようものなら子どもたちは皆目が釘付けになってしまう。

コンサートは1日のみ2回のステージで平日の昼間という、働く親のことを無視した設定だったので、コンサートの前後に保育園に預けたり、仕事を抜け出して連れていったりと、ケアンズならではの対策で乗りきった人も多かったらしい。


▲当時のザ・ウィグルスのヒット曲「Hot Potato」。

さて。ある日、日本から来た友人がこちらの子供用ビデオを見て「こういう人が子ども用のビデオでちゃうんだ~」と一言。それはオーストラリアの動物がたくさん出てくる音楽ビデオで、歌っていたのはベテランのおじさん。

私はその一言で海外の子ども向け番組と日本のそれは違う!と気付いてしまった。簡単に言うとこちらの番組は子どもに媚びてない。大人が子どもの為にパフォーマンスしている、というスタンスなのだ。もちろん楽しそうにはやってるけど、日本の様に若いお姉さんがどっから出しているのかキンキンの高い声で子どもみたいに話したり、やたらフリフリのコスチュームを着たり、といった演出はしないのである。

「子どもの為には若くてはつらつとした、可愛い人が相手をするのがよろしい」という暗黙の定義が日本にはあるみたい??

イギリスの番組テレタビーズではマニキュアを塗った厚化粧のお姉さんが出ることもあるし、アメリカのセサミストリートは、大人が聴いてもかっこいい音楽やダンスが流れている。

オーストラリアの朝の子ども番組なんて、夜に違う番組のキャスターやってるおばさんが出てくるし。みんな話し方も服装も普通だ。歌や踊りは楽しげなものが多いとしても。(そういえば、保育園や幼稚園の先生も日本だと若い女性が多いけど、こちらはおばさん(失礼)も多いな~)。

そんな中、The Wigglesは日本の発想に近い、オーストラリアには今までなかったスタイルのパフォーマンスを繰り広げる。可愛いキャラクター、赤、青、紫、黄色のコスチューム、子どもがたくさん出てきて一緒に踊り…。男性だけだから声は落ち着いているけど。そして彼らが大成功を収めて、アメリカにまで進出しているという事実。

…本当はなりきり型のこの形式の方が子どもには受けるのかも。ポケモンやたまごっち、プリクラ、と、まさか海外では受け入れられないだろうと思っていたものが続々大ヒット。子ども向け番組&音楽も、もしかしたら日本が一歩リードしているのかもしれない。


(リビング・イン・ケアンズ誌2000年1月号に掲載)

マーフィー恵子さんの近況

「懐かしい気持ちで原稿を読みました。
 今のThe Wigglesは女性も1人いるようです。

 時が経つのは早いもので、子ども番組を喜んで観ていた娘は、
 先日、わざわざ飛行機でシドニーまで行き、
 One Direction (1D)のコンサートへ。
 使っているパフュームも1D。。
 と、すっかりティーンエイジャーになっています。」

〈2014年3月〉

 

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マーフィー恵子

マーフィー 恵子Keiko Murphy

Pouch Quality Aussie Gifts
オーナー

93年よりオーストラリア、ケアンズに在住。「ハートに響く異文化体験のトビラ」をモットーに、地元企業と日本人マーケットをつなげるPRやイベントを手がける会社 JC Creations を経営。1995年フリーペーパー「リビングインケアンズ」を創刊。2011年に出版事業は売却。2012年4月に地元の良いモノ・素敵なライフスタイルを紹介するセレクトショップ「パウチ」をオープン。著書に「家族でケアンズ最強ガイド」(講談社)がある。執筆記事はこちら
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