連載
ママのため息| マーフィー恵子

【第8回】赤ちゃんと夜 1

英語には“夜泣き”という言葉がない。赤ん坊は夜でも何でも泣いて当たり前だからだ。日本の育児雑誌には「夜泣き克服大作戦」とかいった特集もちらほらあるのに…。もっとも日本ではご近所迷惑になるので泣かせておけないという現実も関係しているのかもしれない。

普通、オーストラリアでは赤ちゃんは生まれた時から自分のベッド(コット)で寝る。柵でもつけない限り、高さのある大人のベッドに赤ちゃんを寝かすことはできないし、ウォーターベッドだと親が寝返りを打つ度に赤ちゃんがコロコロ転がってしまうし、限られたスペースだから大きいパパにつぶされては困るし….と、日本の布団と違って川の字で親子が寝るのはちょっと難しいのだ。

普通は、モニター越しに泣き声が聞こえると、お母さんが起きてオムツを変えたりおっぱいあげたり。寝たあとの夜泣きも大変だが、実は同じように難しいのが赤ちゃんを寝かしつけること。眠いくせに睡魔と戦って怒りっぽくなったりして、毎日ベッドに入れたらすやすや、なんて理想でしかないのである。

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▲こちらでは、赤ちゃんは別室で寝るのが普通なので、モニターを使う家庭が多いです。日本もそうなってきているのでしょうか?。

オーストラリアでは、クライング・コントロールという考え方が一般的。寝る時間を決め、オムツOK、ミルクOK、室温OK、の状態にしておいて、薄暗く静かな部屋で、毎日同じ時間に赤ちゃんをベッドに入れるのだ。たとえ起きていても。そして泣いても放っておく。

「お腹も空いてるはずないし、泣く理由はないんだから、いつか諦めて泣き止むでしょ。何日か繰り返せば寝る時間を学ぶわ」という、はっきり言って大人に都合がいいやり方である。なんといっても「コントロール」だから。

で、赤ちゃんは本当にほとんどの場合数日後には泣かずに寝るようになる。すごいけど本当です。コツは決まった時間にベッドに入れることと、泣いてもあくまでも放っておくこと。親が折れてはいけない。(本にそう書いてあった)

泣かなくなるというのは「どうせ泣いても誰も来てくれないし、暗いから寝るしかないじゃん」と赤ちゃんが諦めているような気がしてしまって私はできなかった。

・・・育児には割り切りが必要なの?親が毅然と「△△時なんだから寝なさい」という態度で接していれば赤ちゃんも混乱しなくていいの?オーストラリア人のように大人は大人の時間が必要!ということを赤ちゃんにも悟らせた方がいいの?

・・・何が正しいかはわからない。でも赤ちゃんの夜泣きや、寝かしつけの苦労なんて人生のほんの一時。泣いたらその度に抱っこしてあやしてあげてもいいのでは?

(リビング・イン・ケアンズ誌1999年11月号に掲載)

マーフィー恵子さんの近況

「東京が大雪に見舞われ、大変なことになったと聞いています。
 ケアンズからの直行便の乗客は、成田空港に着いたものの、
 他の交通機関がストップ。周辺のホテルも満室。。。
 で、航空会社が配布した毛布と寝袋を使って
 空港で一夜を明かしたそうです。大変なことですね。

 一方、ケアンズは雨期で真夏。
 そんな中で、息子は学校のキャンプや水泳大会、
 娘もクロスカントリーやキャンプなど
 野外での活動を満喫しています。

 雨だろうが、暑かろうが、
 やっぱりケアンズキッズの基本はアウトドア!?」

〈2014年2月〉

 

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マーフィー恵子

マーフィー 恵子Keiko Murphy

Pouch Quality Aussie Gifts
オーナー

93年よりオーストラリア、ケアンズに在住。「ハートに響く異文化体験のトビラ」をモットーに、地元企業と日本人マーケットをつなげるPRやイベントを手がける会社 JC Creations を経営。1995年フリーペーパー「リビングインケアンズ」を創刊。2011年に出版事業は売却。2012年4月に地元の良いモノ・素敵なライフスタイルを紹介するセレクトショップ「パウチ」をオープン。著書に「家族でケアンズ最強ガイド」(講談社)がある。執筆記事はこちら
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