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レポート| P_TREE編集部

【レポート】美しく光るこの謎の球体は…!?『光る泥だんご』のワークショップに遊びに行ってきました。

【レポート】美しく光るこの謎の球体は…!?『光る泥だんご』のワークショップに遊びに行ってきました。

泥だんご。みなさん一度は作った経験があるのではないでしょうか。砂場の砂に水をまぜて、丸く、固くしていって、最後に白砂をかけてできあがり。そのカチカチ具合に気分をよくして机に飾ったりして。でも何日かすると乾燥して割れちゃってちょっと悲しい思いをしてみたり…。

どの時代のキッズも憧れる『泥だんご』。でも今日ご紹介する『泥だんご』はちょっと違います。なんか高級なんです。光ってるんです。

10月6日に、練馬区立上石神井小学校で行われた上石神井地区祭で「光る泥だんご」のワークショップがあるというので遊びにいってきました。

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ワークショップ会場の上石神井小学校に着いたのは午後1時頃。特設ステージでは力士がこどもと相撲をとっていたり(近くに相撲部屋があるのかな?)、焼きそばなど美味しそうな食べ物を売るテントが並んでいたりと、賑やかなお祭りがおこなわれていました。

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そんなお祭り会場の一角で『光る泥だんご』のワークショップは行われます。午前と午後の2回行われるということですが、すでに終了した午前の部は大盛況、午後の部も早々にチケットがなくなってしまったそうです。

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泥だんご人気おそるべし!です。
 
 

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こちらが『光る泥だんご』主催の田村先生。上石神井地区祭でのワークショップへの参加は今年で3年目になるといいます。

一級建築士としての仕事が本業ですが、いまは『光る泥だんご』の講師として様々なイベントから声がかかるといいます。「最近は『光る泥だんご』ワークショップの活動の方が忙しいくらい」ということで、本業の方はセミリタイア状態だとか。

泥だんごの先生を前にして、まず聞いてみたいことがありました。僕がこどもの頃に作った泥だんごは、こんなにきれいに、かたく、ぴかぴかにならなかったんですが、何が問題だったのでしょうか?

「それは土ですね。公園の砂場とか、その辺の土ではまずうまくいきません。土の中には砂や砂利や粘土などいろんなものが混ざっていますが、その中でも粘土の多いものを選ぶとうまくいきます。

見つけ方としては、水を撒いてもたまるところ。例えば池や田んぼなんかですね。そういうところの土は粘土の成分が多いので、上手にできますよ」

なるほど、土選びがポイントなんですね。ちなみに今日ワークショップで使用する泥だんごも、荒木田土(あらきだつち)という田土、いわゆる田んぼの土でつくったものだそうです。粘土質で重く、保水性に優れているのでガーデニング等でもよく使われる土だとか。

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それにしてもこの色つや。色付けには何をつかっているんですか?

「日本画にも使われている顔料や、各地の色土を石灰に混ぜた“仕上げ土”を使います。この仕上げ土を塗って、磨いて、、を繰り返して仕上げていきます」

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それでこの色つやが出るんですね、なるほど。

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さあ、ワークショップがはじまりました。

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泥だんごの芯から作ることもできるけど、今回は仕上げのみ。芯を完全に乾かすには真夏で丸一日、冬場や梅雨時では一週間程かかってしまうためです。そんなわけで今回“芯”は前もって準備しておくことに。でもほぼ100%に近い球体の泥だんごの“芯”の仕込みはとても重労働で、「ワークショッップでこの準備が一番大変」とのこと。

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▲これが泥だんごの芯

まずは田村先生の説明から。お祭り会場というだけあって周りはずいぶん賑やか。その喧噪に負けないように、拡声器を使って説明します。

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ざっと手順をおさらいすると…

①泥だんごを一回水に濡らす
②色仕上げ土を刷毛や指で塗る
③ドライヤーで乾かし、塗って、、を繰り返す
④あとはゆっくりていねいに磨いていく

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まずは泥だんごを濡らします。

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それぞれ好きな色の仕上げ土を塗っていきます。

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驚いたのは、飽きちゃったりふざけたりする子はほとんどいなくて、みんな夢中になって黙々と作業をしているということ。1時間近くこんな単純作業をしていたら、けっこうグダグダになりそうなものだけど、泥だんごパワー、大したものです。

後から田村先生に「いやいや、始めてから完成させるまで早い人で1時間、ふつう2時間ほどは集中してやっていますよ」と言われ、ますます驚きました。2時間とは!

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一回目の塗りが終わったらまず乾かして…

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仕上げ土による二度目の色づけをします。

最短コースは、このあと磨きにかかって完成させますが、何色も重ねてみたい場合は、そこから仕上げ土を塗る作業を何度か繰り返します。そうして磨いて、塗って、、を繰り返し、きれいな艶のある泥だんごができあがっていきます。

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仕上げにオリーブオイルを塗っているで艶を出している子もいました。オリーブオイルを塗るのは、土が乾燥したときに白っぽくなるのを防ぐ=発色をよくするためで、艶だしのためではないそうです。

そんなこんなで、きれいな光る泥だんごが次々に完成していきます。頑張って磨けばきれいに光る。苦労が報われるっていうのがいいですね。

満足のいく仕上がりになった子、思い通りにならなかった子、家に帰ってからもっと磨くんだと張り切っていた子、それぞれ完成した泥だんごを手に満足そうに帰っていきました。

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▲当日、田村先生の助手として頑張っていたみなさん。おつかれさまでした!

そうそう、何組か親子で参加している方がいましたが、お父さんの方が真剣になっちゃったりしてましたね。そんな親子で楽しめる泥だんごのワークショップ、ぜひ体験してみてはいかがでしょうか。

 

田村先生のアトリエで光る泥だんご作りを体験できます。興味のある方はメールにて、氏名、電話番号、職業、年齢を書いて連絡してください。※詳細はこちらよりご確認ください。
 


 
<アトリエ・テラ>
場所 東京都練馬区上石神井南町9-14(西武新宿線「上石神井駅」徒歩7分)
TEL & FAX:03-5934-1803
ホームページ:http://members.jcom.home.ne.jp/k-tamura/
こちらのホームページでは、さらにディープな「土」のこと、「粘土」のことなどが語られています。興味のある方は覗いてみて下さい。

 

この『光る泥だんご』、元々は京都で幼児教育の一環として行われていたそうですが、「東京でもできないか?」ということで、田村先生がやることになったそうです。

「泥だんご作りには、左官の技術を使ってます。要はまるい土壁を作っている様なものですから。化学物質を使わずに、熱処理もせず、生の土だけでもこれだけのモノができるというのが左官の技術ですね。プロの左官屋相手にも教えたことがありますよ」

左官という日本が誇る建築技術で作られた「光る泥だんご」。なるほど、その美しさにみんなが魅了されるのもなんだかわかるような気がします。職人の技ですからね。

ちなみにネットで「どろ団子」を検索すると、1,250,000 件もののヒットがありました。いやあ、思っていたよりとてもディープな世界なんですね。こどものお遊びなんて舐めてたらとんでもないです。すごい世界です。。

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P_TREE編集部

 P_TREE編集部 ピーツリーへんしゅうぶ

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