連載
ママのため息| マーフィー恵子

【第13回】ケアンズ・マタニティ・ライフ

外国で出産することになると、色々と不安も多い。そこで、日本からマタニティ雑誌を送ってもらうと、不安は余計につのってしまう。腹帯なんてオーストラリアにはな~い、カルシウムや鉄分を採ろうとするとチーズやステーキやカロリーの高いものばっかり~etc. etc。

でも心配や不安が一番、胎教によくない。ここで産むとなったら開き直ってケアンズのマタニティライフをエンジョイしてしまうことをお勧め。ここには妊娠中はこれをしてはいけない、何kg以上太っちゃいけない、そういうタブーがないのだから。私のように体の変化を面白がっていたら最終的に20kgも太って4kg以上の巨大児を産むことになってしまったマヌケな人もいるが…。

こちらには、LLサイズの洋服売場はあっても、マタニティ服売場を設けている所は滅多にないし、下着なども種類が少ない。臨月ギリギリまで仕事をしている人もたくさんいる。つまり妊娠という事実を特別扱いしていないのである。持病があったりしない限り、そのくらい大らかでいいと思う。

ドクターは、妊娠中毒症や他の病気など、特別なケースを除いてはあまり干渉しないけれど、医療技術に関しては決して日本より遅れているわけではないので、この点は安心。無痛分娩は特殊な麻酔技能を要するので一定の病院でしかできない。アクティブバースはまだ一部でしかできないなど、日本の記事を読むと、こちらの方が選択肢は広いのかなとも感じる。(麻酔は希望者には当然のように行われている)

ケアンズには病院は公立、私立の2つしかないが、私の経験では私立病院の方は分娩室で好きな音楽を流してくれたり、テレビがあったり、室内はピンクで統一され全く仰々しさがなかった。お産までは、一般医に通う方法と、産婦人科医の所に通う方法がある。期検診に通わずに出産の為に病院だけ予約することも可。一般医に通う場合は、出産の時に当直の産婦人科医か、助産婦さんが取り上げることになる。

一方、産婦人科に通っていた場合は、余程の理由がない限り10ヶ月間みてきてくれたドクターが病院に出張してきて出産まで面倒をみてくれるというシステム。産婦人科医だと、検診の度に超音波を見せてくれたり、設備がそれなりに整っている。

出産の予約を病院にすると、助産婦さんから検査の案内(必要な場合は羊水検査など)やコンサルテーション、母親学級の案内などが行われる。血液検査はここで、超音波はここで、とややこしく感じるかもしれないけれど、自分で手配したりすることによって出産の自覚が出てくる。

私たち日本人の特権は、医療技術を心配することなく、情報の渦からは距離を置いて、日本の素晴らしいマタニティ製品や食品を送ってもらったり、必要な選択だけをできるところにある。だから日本と比べて、ない、ないと不安になるのはナンセンス。新生児と昼夜の区別のない数カ月を過ごす前に、リラックスしとかなきゃ損です!

(リビング・イン・ケアンズ誌2000年4月号に掲載)

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マーフィー恵子

マーフィー 恵子Keiko Murphy

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オーナー

93年よりオーストラリア、ケアンズに在住。「ハートに響く異文化体験のトビラ」をモットーに、地元企業と日本人マーケットをつなげるPRやイベントを手がける会社 JC Creations を経営。1995年フリーペーパー「リビングインケアンズ」を創刊。2011年に出版事業は売却。2012年4月に地元の良いモノ・素敵なライフスタイルを紹介するセレクトショップ「パウチ」をオープン。著書に「家族でケアンズ最強ガイド」(講談社)がある。執筆記事はこちら
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