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遊具| ふじもり

体と頭をめいっぱい使って遊べる人気遊具〈ジャングルジム〉の歴史といま

みなさんこんにちは!ふじもりです。

いきなりですが、身近にある遊具は誰が考えたものか、ご存知ですか?
仕事で遊具の開発に携わっていると、自分が遊んできた遊具は誰がどのように作ったのだろうと気になります。発祥はどこの国なのか、どれくらい前からあるのかなど、小さい頃からずっとあるのに遊具について知らないことがたくさんあるのです。

今回はわたしが小さい頃によく遊んだ記憶のある「ジャングルジム」について調べてみました。ジャングルジム登場までの歴史や現代のジャングルジム事情をご紹介します!

 

ジャングルジムの誕生

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出典:https://unrememberedhistory.com/tag/jungle-gym/

ジャングルジムは1920年シカゴの弁護士セバスチャン・ヒントンが発明しました。発明のヒントとなったのは彼の幼少期に数学者である父親が考えたある遊びでした。

それは裏庭に竹の柱で立体の格子を作り、「(X2,Y4,Z3)へ!」と示された座標の場所に兄弟で競争して登るというもの。

数学を用いて4次元について考える父親は、息子たちにまず3次元空間をよく理解してほしいという思いがありました。

しかし当のセバスチャンは座標の理解はさておき、単に登ったり吊り下がったりしてサルのように遊ぶことを楽しんでいたと語っています。

(余談ですが、このジャングルジムの原型とも言える「登り格子」はヒントン一家が日本で暮らしていたときに作られたそうです。竹はアメリカには生えていないので、日本に住んでこその発明だったのではないでしょうか!)

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出典:https://unrememberedhistory.com/tag/jungle-gym/ target=”_blank”

大人になったセバスチャンは、自分のこどものために「登り格子」を作りたいと考えていました。

そのアイディアはイリノイ州ウィネケカの学校長ウォシュバーンの目にとまります。彼は独自の体育のカリキュラムを模索しているところでした。

小さな面積で多くのこどもたちが遊べること、こどもの登りたい気持ちを満足させること、登り遊びをとおして全身の筋肉を鍛えられることなどの理由から、「登り格子」は理想的な学校遊具のアイディアだったのです。

この「登り格子」は「ジャングルジム」と名付けられ、ヒントンたちによる開発が行われました。初めて作られたプロトタイプは1920年の基準でも相当危険なものだったそう。そこから安全性や耐久性を考慮して試作と改良を重ね、最初のジャングルジムが設置されたのです。

ジャングルジムが日本に紹介されたのは大正後期と言われています。それからというもの、公園や幼稚園、保育園などでたくさんのこどもたちに親しまれ続けているのです。

 

ジャングルジムのいま

誕生からおよそ100年の歴史をもつジャングルジムですが、現代のジャングルジムは形や素材も様々です。

グローブジャングルジム
丸いタイプのジャングルジムはグローブジャングルジムとも呼ばれます。くるくる回る様子が地球(globe)のようでぴったりのネーミング。

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出典:https://tokken.net/place-top/#playground

写真はメロンに見立てたグローブジャングルジム。格子がメロンの網目なんですね~。

ロープジャングルジム
太いロープで作られたジャングルジムです。ザイルクライミングとも呼ばれます。鉄の棒とは一味違った登り心地が体感できそうですね。

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こちらはオーストリアのデザイン会社が作ったジャングルジム。細くて強靭なロープを張りめぐらせています。まるで電脳空間にいるようです…!

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出典:http://www.numen.eu/installations/string/prototype/

木製ジャングルジム
丸太を組み合わせた木製のジャングルジム。かたちはジャングルジムなのですが、手触りやにおいから木登りをしている気分にもなれますね!

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ジャングルジムと安全性

ジャングルジムとは切っても切り離せない「安全性」の問題。現代に至っても、より安全なジャングルジムを作るため、日々改良がなされています。

指をはさみこまないよう隙間を広くしたり、当たっても痛くないように素材を鉄から変えてみたりと工夫も様々です。

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設置に関しても国土交通省による安全の指針があり、落下するリスクの高い遊具では安全領域の確保に動きの方向なども考慮することや、落下の際の衝撃緩和への配慮として、ウッドチップやラバーなどの衝撃吸収材使用の推奨などが示されています。

【参考】国土交通省:都市公園における遊具の安全確保に関する指針(改訂第2版)

全身を使ってのぼるチャレンジ性の高い遊具だからこそ、危険についても十分すぎるくらいに考えられている必要を感じます。

こどもは「登る」ことが大好きですよね。ジャングルジムでなくても登れそうなところにはどんどん登ってしまいます。だからこそ、安全に登れるジャングルジムはずっと公園や保育園・幼稚園のお庭にあってほしいものです。

安全性と楽しさを両立しながら進化していくこれからのジャングルジムも楽しみです!

“J” is for Jungle Gym
http://www.winnetkahistory.org/gazette/j-is-for-jungle-gym/

Funky Art and Monkey Math
https://sarah-angleton.com/tag/history-of-the-jungle-gym/

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ふじもり

ふじもり  

デザイナー

1994年生まれ。青森県出身。
こどもを中心にみんなで楽しめるデザインを紹介します!執筆記事はこちら
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